はじめに
企業の年度末や年度当初は、契約の更新や巻き直し等で契約書を作成されるかと思います。また、街中での買い物でレシートを受け取る場合等、印紙税はビジネスや日常生活に非常に関わる機会が多いかと思います。
今回は、印紙税に関して全3回に分けて解説していきたいと思います。
印紙税とは
印紙税とは、契約書を作成する場合や、領収書・支払手形を交付する際に課税される税金であり、印紙税の課税対象となる課税文書に収入印紙を貼付、消印することにより納税することとされております。
課税対象となる課税文書とは、印紙税法別表第一の課税物件一覧表のとおりとなっております。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran_r0204.pdf
※国税庁参考リンク
実務的な印紙税の考え方
基本的には、課税物件表に該当する課税文書に対し印紙税が課税されます。
また、相手方と取り交わす書面が、「契約書」といったタイトルに限らず、「覚書」、「通知書」、「御案内」等の書面であっても、内容の如何によって印紙税の課税文書になる場合があります。
一方で、課税物件表に該当するものであっても、領収書に記載のある金額が50,000円未満の場合等、いわゆる非課税文書の要件に該当する場合は、印紙税は課税されません。
近年は、相手方と取り交わす書面を、実際の書面での署名捺印ではなく、メールやFAXで行うケースもあるかと思います。
メールやFAX等で相手方に対して交付する、もしくは電子契約をするといった場合には、印紙税は課税されません。
但し、メール等でやり取りした書面をプリントアウトし、その後署名捺印したものは、印紙税の課税文書に該当します。
また、契約書のコピーは課税文書に該当しませんが、コピーをしたものに署名捺印したものについては、課税文書に該当します。
印紙税は、契約書等の相手方と双方で署名捺印する場合は、両者が署名捺印した時に印紙税が課税され、借用証書や注文請書、領収書等、相手方に一方的に交付する場合は、相手方に交付する時に印紙税が課税されます。
万が一、印紙税の納付を失念していた場合は、基本的に本来の納税すべき税額の3倍(例えば200円の印紙を貼っていない場合は、200×3=600円)が過怠税として課税されます。但し、納付を失念していたことを税務署に対し自主的に申し出た場合(「不納付事実の申出」といいます)は、過怠税が3倍ではなく1.1倍に軽減されます。
実際に印紙の貼付を行う時に、本来貼らなくてよいものに対し多く印紙を貼付しすぎた、契約がキャンセルになった、あるいは注文請書や領収書の内容に誤りがあって、相手方に交付しなかったケースもあるかと思います。
そういった場合は、税務署に対し印紙税の還付請求(「過誤納確認申請」といいます)を行うことによって、誤って貼付した印紙に対して還付を受けることができます。
なお、過誤納確認申請は、課税文書作成日から5年以内という時効があるほか、双方署名捺印した契約書については、その後契約内容の誤りが判明した場合でも、還付の対象にならないので注意が必要です。
また、未使用の収入印紙は、還付、返金等いずれも出来ないので、注意が必要です。(金券ショップでの買取は、汚れや破れてる箇所がなければ、買取に応じてもらえます)
さいごに
印紙税については、皆様にとって馴染みがある一方で、課税文書になるのか、税務署の職員であっても判断に迷うケースもあります。
次回以降は契約書等を中心に、事例を挙げてご紹介して参ります。
こちらの記事監修も行いましたので、是非ご参考になれば幸いです。
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